読書感想文⑥ 米澤穂信『満願』
こんなメールが届きました。
実は本日、このブログの半年記念日でございます!
わー!
ぱちぱち!
いぇーい!
え?
いやいや、このブログはじまってたったの一週間しか経ってませんやん。
否、ブログを開設したのは半年前で間違いございません。
ただ、ただただ、私の行動力の無さによるタイムラグでございます。
書きたくても、時間がない、体力がない、題材がない、とないものねだりしていた半年間、自分で自分を叱りつけてやりたい。
そして、いまこうして、書く練習をできていること、自分で自分を褒めたい!(甘ったれ)
米澤穂信『満願』。
米澤先生の王道ミステリー短編小説集です。
米澤穂信=ミステリー、も過言ではない、代表作は実写映画化作品原作の『氷菓』ではないでしょうか。
とある学校の古典部なる部活に属する5人、なかでもひとりの省エネ男子高校生が主となり、校内の小さく大きな謎を解き明かす『氷菓』、人が死なないミステリーとしても有名です。
打って変わって『満願』、人死にます。
程よく知的な地の文は、『氷菓』と通ずるのですが。
同じミステリーでも題材が変わると、文字の織りなす雰囲気がここまで変わるのか、と感心してしまいます。
(『氷菓』の古典部シリーズも、そういえば、巻ごとに雰囲気こそ一貫しているが、文章の構成は大きく違うのだったな)
警官に向いていなかったあるひとりの警官が殉職した。葬儀が終わり、あいつは本当に警官に向かなかったと振り返る巡査部長。殉職に隠された、真相が浮かび上がる。
ー「夜警」
舞台は自殺名所。温泉の脱衣所に残された一枚の遺書だけを頼りに、3人の宿泊客のうち誰が今夜命を捨てるのか、突き止める。それだけでは終わらないのが、この宿。
ー「死人宿」
まともに働かない父親と、美しい母親の間に生まれた美しい二人の娘が、両親の離婚調停を震撼させるある計画に着手する。一体誰のために美しき娘たちは危険や痛みを顧みないのか。
ー「柘榴」
バングラデシュの天然ガス開発の厄介な足枷は、ある村の権力者たちの保守的な態度だった。この開発を成功させるためには何だってする、そう意気込む開発室長が執行した計画は。帰路に待つものは。
ー「万灯」
都市伝説のムック本の記事を任されたライターが訪れたのは、4件もの事故が多発した「死を呼ぶ峠」。すぐ近くのドライブインの店主である老婆に取材をするが、その老婆、何と事故4件をすべて詳しく記憶していたのだ。
ー「関守」
ある弁護士は、司法試験の受験生時代に下宿していた大家、妙子の起こした殺害事件の裁判を担当した。妙子は、家宝として大事にしていた掛け軸を借金のカタにとらせまいとして、夫が金を借りていた男を事件を起こした。人を殺すまで掛け軸にこだわる理由とは。タイトルである「満願」の意味を理解したとき、この事件の真相は浮かび上がる。
ー堂々の表題作、「満願」
このような6編の短編で成り立つ『満願』は、ひとつひとつが読みやすく、しかし長編ばりの読み応えには度肝をぬかれる。
何年か前NHKで実写ドラマ化されたそうな。
西島さんを筆頭に、キャストが強い。
やはり、面白い作品の実写化は避けられないのか〜〜
明日が来るのは昔から好きではないが、こうして書く練習をしているうちは、自然に、健康的に、明日を受け入れていることに気づいた。
さて、明日は何を書こう?
ってね。