読書感想文⑮ 灰谷健次郎『ろくべえまってろよ』
もぬけの殻、の「もぬけ」ってなんでしょうね?
マヌケ、と響きが似ていてちょっとかわいいと思ってしまいます。
「マヌケ」と聞くと。
必ず思い出すことばがあります。
きょゆーん わんわん
きょゆーん わんわん
ろくべえが、あなに おちているのを、
さいしょに みつけたのは、かんちゃんです。
「まぬけ。」
と、かんちゃんが いいました。
いぬのくせに、あなに おちるなんて、
じっさい、まぬけです。
小学2年生のころに習った「ろくべえまってろよ」。
いやになるぐらい音読させられたので、いまでもそらで読めちゃう。
深くて真っ暗な穴に落ちてしまった犬のろくべえを助け出そうと、子どもたちが大奮闘するお話。
ずぶずぶとノスタルジーに浸ってしまい、絵本『ろくべえまってろよ』を読み返しました。
なんとびっくり、作者が灰谷健次郎。
『兎の目』や『太陽の子』などの著作で有名な、あの。
灰谷作品、小2で触れていたとは。
小学校以来に読んだ『ろくべえまってろよ』の感想は、
大人の描写がイジワル、でした。
かんちゃんら、子どもたちの、ろくべえを助けたい、助けてくれという純粋なこころを踏みにじるようなことばを放つ大人たち。
これは無理だ無理だ、という大人。
女じゃなくて男がするべきよ、という大人。
深い穴はあぶないガスが漏れていたりするから、犬で良かったわねえ、という大人。
実際、こんな大人ばかりではないと思うのですが、(そう、思いたい)
こんな大人になってはいないか、と問いただされるような。
1978年に出版されたと知り、さらにびっくりです。
それから40年後の今、灰谷健次郎が描いた、いやな大人は健在。
何とも言えない心情になります。
果たして私は、憧れの大人に、なりたかった大人に、かっこいい大人になれているのだろうか。
『ろくべえまってろよ』、思い出してよかった。
2月の下旬から、あることに挑戦していて更新が滞りましたが。
昨日やっと落ち着いて、それこそ、もぬけの殻です。
いーや、殻になんてなってないで、ばりばり書く練習、していくぞう。