読書感想文⑭ 新潮社 編『Story Seller』
気を取り直して。
前回の記事は無題と称し、ようわからんことをぼやきましたが。
本日は張り切っちゃって、2000字越えしちゃいました!てへぺろ
すこーし長いですが、きっと読みたくなります。
最後までご覧くださいな〜〜
『Story Seller』
編集に、新潮社ストーリーセラ―編集部。
作者は、
伊坂幸太郎・近藤史恵・有川浩・佐藤友哉・本多孝好・道尾秀介・米澤穂信
圧がすごい並び。
7人の「物語」の匠たちによる、短編集です。
面白いお話、売ります。
このコピーによって超絶高くなったハードル。
いけるか……?めっちゃ期待値上がるけど……
という心配はご無用。そんなハードルなどいとも簡単に、ひょいと跳んでいきます。
収録作品は、
伊坂幸太郎「首折り男の周辺」
近藤史恵「プロトンの中の孤独」
有川浩「ストーリー・セラ―」
米澤穂信「玉野五十鈴の誉れ」
佐藤友哉「333のテッペン」
道尾秀介「光の箱」
本多孝好「ここじゃない場所」
全7作品。
お気づきの方は、おっ、と思われたはずです、聞いたことのあるタイトルがあるじゃあないですか!
そう。
以前、読書感想文を書いた有川さんの『ストーリー・セラ―』は、この『Story Seller』で好評を博し、文庫本として加筆・発売されたのです。
他にも、伊坂幸太郎さんの「首折り男」だったり、近藤史恵さんの自転車ロードレースシリーズだったり、ファンにはたまらないスピンオフ作品も収められています。
伊坂幸太郎「首折り男の周辺」
連日ニュースをにぎわす、「首折り殺人事件」。文字通り、発見された遺体の首は皆折られているのだ。犯人はいまだ見つからず。近隣の住民の平凡な生活に緊張が走る。
若林夫婦も、平凡な生活を送っていた。いや、退屈な生活。
そんな退屈な生活に飽き飽きしたのか、妻が急に隣人の小笠原が犯人――「首折り男」ではないか、と疑いはじめる。
首折り男の周辺の平凡な生活が、すこしずつ綻んでいく。
「プロトン」とは、自転車レースのメイン集団のことをいう。そのなかの孤独、というか孤高のロードレーサーとして、良くも悪くもチームで浮いていた石尾。協調性は皆無だが、才能はずば抜けている。そんな石尾が、まさか自分に「俺のアシストをしませんか?」と申し出てくるなんて、と驚く赤城。
自転車ロードレース、というスポーツの繊細さと、レーサーたちの心理戦が渦を巻く。
一種のサスペンスともいえる、駆け引きに目が離せない作品。
米澤穂信「玉野五十鈴の誉れ」
先祖代々受け継がれる高家・小栗の長女として生まれた小栗純香。一家は男児に恵まれず、純香は祖母の容赦のないしつけを受け、すべての期待を背負い後継ぎの準備に日々を費した。そんなある日、使用人の玉野五十鈴が小栗家にやってきた。使用人を仕えてこそ、小栗家を支えられる、これも祖母の思惑だ。そうわかっていながら、純香は同い年ほどの五十鈴と仲を深めていく。
母の再婚、そして待望の男児が生まれたことから、純香は過去も未来も存在価値も失ってしまう。そんな純香に五十鈴はどのように仕えるのか。
佐藤友哉「333のテッペン」
333。
それは、東京タワーの高さである。東京タワーのテッペン、地上333メートルで起こった殺人事件を解決しようと立ち上がったのは、東京タワーのふもと、お土産店のアルバイト土江田と探偵赤井。
垣間見える土江田の過去や、探偵赤井の何とも言えない胡散臭さに、ミステリーと片付けられなくなる。
道尾秀介「光の箱」
小中学生のころいじめを受けていた圭介は、仲の良かった弥生と絵本を書いていた。絵本を通して二人の絆は深まっていった。同じ高校に入学し、弥生には夏実という新しい友達ができた。しかしある日突然、夏実が転校してしまった。下校途中に強姦に遭い、写真を撮られたことから、引越しすることになった、と担任は説明した。――夏実がいない学校生活はすぐに過ぎ、卒業を迎え、圭介と弥生は結婚することになった。
ふと思い出した夏実のことから、強姦事件、さらに「写真」の真相があらわになっていく。
本多孝好「ここじゃない場所」
同級生の秋山が目の前で、消えた。
そんなあり得ない光景に驚愕したリナは、秋山に執着していく。彼が「消えた」のは本当なのか。どう「消えた」のか。
気になって気になって仕方がなくなってしまい、秋山を尾行するリナ。
たどり着いた場所は何と、何らかのアジト。リナ、危機一髪。秋山はいったい何者なのか。
好きな作者から読んでもよし、気になるタイトルから読んでもよし。
『Story Seller』は、『Story Seller2』『Story Seller3』『Story Seller -annex-』と続編が出版されています。
ふう。
表紙の通り、「読み応えは長編並み、読みやすさは短編並み」です。
もうすべてです、これが。
ぜひ、手に取ってください。
気が付いたら、『Story Seller -annex-』まで買っちゃってた!
なんてことは、ザラにありますよ。きっと。ふふふ
この『Story Seller』を編んでくれた新潮社に、心からの感謝を伝えたい。
アリガト、アリガト、テンキュー!!!!
まだまだ火曜日!
びっくりしちゃいますね。