ツレヅレなるままに⑧ あゝ、ムジョウ。
欅坂46が好きだという話を、覚えていますか。
好きなんですよ。
何というか、いつまでも捨てることのできない、厨二心をストライクでくすぐってくるんです。
鮮烈なデビュー曲「サイレントマジョリティー」から、最新曲「黒い羊」まで、反骨精神バリバリ一直線で猛進していると思われている方。
ちっちっちっ。
今のイメージとは程遠い(愛ゆえ)爽やかさ100%の隠れた名曲があるんです。
2ndシングル表題曲「世界には愛しかない」。
ポエトリーリーディング、という語りが全編に渡ってちりばめられています。
そのことばたちが、もうなんとも。
「歩道橋を駆け上がると、夏の青い空がすぐそこにあった。
絶対届かないってわかっているはずなのに、僕はつま先で立って
思いっきり手を伸ばした。」
「真っ白な入道雲がもくもくと近づいて、
どこかで蝉たちが一斉に鳴いた。
太陽が一瞬怯んだ気がした。」
「空はまだ明るいのに、突然、雨が降ってきた。
僕はずぶ濡れになりながら、街を走った。」
「夕立も予測できない未来も嫌いじゃない。」
「全力で走ったせいで、息がまだ弾んでた。
自分の気持ちに正直になるって清々しい。
僕は信じてる。世界には愛しかないんだ。」
こんなにキラキラしたことば、あります?(反語)
こんな青春を送ってみたかったと思えてなりません。
ポエトリーリーディング以外の歌詞も、キラッキラしています。
特にサビ。
世界には愛しかない
信じるのはそれだけだ
今すぐ僕は君を探しに行こう
だれに反対されても
心の向きは変えられない
それが僕のアイデンティティ
愛こそ、アイデンティティ。なんて。
そんな自己規定なんて理想論だ。なんて。
ちょっとやさぐれてしまうほど、まっすぐな心の向き。
だれに反対されても
心の向きは変えられない
反骨精神にじむこの部分が大好きです。
爽やか~なメロディー、踊り、表情に、この芯の強さ。
2ndシングルということで、方向性は手探りだったはず。
それでも。
一貫された、あくまでも前向きな反抗心。
センター平手の眼差しは、いつでもはるか前を見据えているよう。
平手友梨奈は、深読みされる人だと思います。
目を伏せても、手を伸ばしても、何かと深読みされる。
本人はいたって何の気ないというのに。
妄想が過ぎますかね。
でも、この時点で私も深読みをしているわけだし。
欅坂46は「平手坂」と揶揄され、
出演する音楽番組やコンサートでは、「平手ガチャ」と揶揄される。
平手の調子が良ければ、最高傑作。
平手の調子が悪ければ、見るに堪えない。
正直、否定はできません。
だって実際に、カメラに抜かれるのはいつでも平手。
それはもう、しょうがないと思うのです。
欅=センターの子・平手友梨奈、という世間の方程式は簡単には崩れない。
欅のメンバーも覆そうとしていないのではないか?と最近は強く思います。
平手を軸に、欅坂46として、良いものを創る。
この考えがメンバーの思いの根にあるような気がします。
それを強烈に感じたのが、最新曲「黒い羊」のMVです。
ここまで書いて、衝撃の一報が。
長濱ねる、卒業。
「黒い羊」のMVには、人気メンバーにもかかわらず、たったのワンシーンしか登場していなくて心配していたのですが……
まさか。
しかも本日語った「世界には愛しかない」は、長濱ねるちゃんの初選抜曲。
現実は小説より奇なり。
アイドルというものは、常ならずですね。
祇園精舎の鐘の声
諸行無常の響きあり
沙羅双樹の花の色
盛者必衰の理をあらはす
欅坂46アニバーサリーライブ、落選。
泣ける。
あゝ、無情。