やたらに、ゆとり。

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読書感想文⑪ 西加奈子『舞台』

 

記録更新に興奮しています。

 

自分史上、といってもたった23年。

その短いなかで、これ以上のものはないのではないか、と思うものに出会ってしまいました。

 

もう、これ以上の記録更新がない、と考えるとすこしさみしいですが……

 

 

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西加奈子『舞台』。

 

小説に、絵本、エッセイ等で有名な西加奈子さんですが、正直、初めて読みました。


西加奈子、読んだことないなあ読んでみたいなあ、と立ち寄った本屋さんにて、直感的に帯に惹かれ、裏表紙のあらすじにも惹かれ、文庫本というのにも背中を押され(安価なので)、購入したのは9月のこと。

 

いやもう、積ん読もいいとこ。
読み切らずして、衝動的に買ってしまうのはやめられません。
積ん読の数は、楽しみの数!はい!

 

 

そうして、やっっっっっと今日読み始めたというわけです。
そう、今日読み始めて、今日読み終わりました。

 

 

どうだい~?読むのはえ~だろう~?

 

 

と、自慢したいのではなく。


それぐらい、読みやすく、物語の展開がとても受け入れやすかったのです。
なにしろ西加奈子さんなので、他の作品ではどうなのかわかりませんが、章で分けられていない、というのも一気に読んでしまえた要因のうちのひとつかもしれません。


今日はこの章まで!と決めて読み進めていく派なので、「1章目」の終わりを探していると、読み終わっていた、という感覚です。

 

 

しかし、さらっと読み流せるような、薄っぺらい内容では決してありません!

 

『舞台』の舞台は、アメリカのニューヨーク。
中学校1年生のころ、太宰治の小説『人間失格』に衝撃を受け陶酔した葉太という29歳の青年は、ニューヨークへ旅に。
タイムズスクエア、グラウンドゼロ、セントラルパーク……


心底楽しみにしてニューヨークにやってきた葉太だが、なんと彼は異常な自意識過剰なのです。
それは、「いかにも初めてニューヨークにやってきた東洋人」と見られるのが嫌で、ニューヨークのガイドブックを丸暗記してくるほど。

 

「いかにも」「ぽい」「らしい」、このように見られるのが昔から嫌で、「自分」を演じて29年間生きてきた葉太。

 

一週間の予定で組んだニューヨーク旅行の初日、なんと、葉太くん、荷物を盗難されてしまいます!

 

大ピンチ!

犯人追いかけないと!

警察署行かないと!

カード止めないと!

領事館行かないと!

やべー!!!!!!

 

と思いつつ、自意識過剰な葉太くんは本当に自意識過剰。

大丈夫かという英語で話しかける声たち、無数の目線たちに、自分で自分がいたたまれなくなり、過剰な自意識が超刺激された挙句、

 

 

 

 

 

ヘラヘラ笑う

 

 

 

ことしかできなかったのです。

 

自身に降りかかる大大大ピンチよりも、周りの目線。自身の体裁。

 

そんな彼が四苦八苦しながら、本当の「自分」を見つけていく話。

 

 

さて、太宰治の『人間失格』に強烈に執着していた葉太、その理由は主人公の葉蔵の自意識過剰なところが自分と似ているような気がしてならなかったからなんですが、

『舞台』読了後、そんな葉太に、私も似ているなと思いました。

良くも悪くも過剰な相手依存の自意識で、生きづらいと感じることが多々あります。

 

たった一度の失敗から剥がれ落ちていく葉太の「自分」。

演じ続けた彼を不憫に思った反面、何だかとても快い気分だったのです。

よっしゃ、もっと剥がれろ! と。

 

タジタジな葉太から、小さな勇気をもらい、また、ほかの何者にもなれない、自分という人間を受け入れる大切さを感じました。

 

 

 

 

 

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世界一美味しいんじゃないか?

と思ったみたらし団子を食して、しあわせいっぱい、腹いっぱいな今晩。

 

世界みたらし団子美味い選手権、記録更新。

もう、スーパーのみたらし団子、食べられない。