読書感想文⑨ 有川浩『塩の街』
1カ月、一瞬でした。
その月のだいたい24日ぐらいになると、欠かさず、
え!1カ月はっっっっや!
となるのですが、1月は特別早かった。
特別の理由は明白です。
1月の初めに契約したAmazonプライムビデオ期間限定体験版。
期間終了のお知らせ。
期間延長の催促。
メールの文面に、本当に駅のホームで立ち尽くしました。
え……?1カ月……?経ったん……?はっや……
ってな。
Amazonには既に登録していたので、プライム会員にグレードを上げるとき、心からうきうきしたものです。
30日間限定ですが、文化的に豊かな生活を送れるようになる気がして。
今日から俺は!ではなく、今日から私は!的な。
気になっていたドラマも、映画も全部見てやる!と意気込みましたが、実際のところはドラマ1本、映画2本。
惨敗です。
忙しい、いそがしい言っていた私を叱ってやりたい。(前にも言ったような気が)
プライム会員からヒラ会員に降格した今、文章を書くことに楽しみを探せているし、前述のとおり、そこまでプライムビデオに没頭していたわけではないのだ。
所有娯楽数に変動はない。モーマンタイ。
振り返ると、忙しさはいまも相変わらずであるのに、1月の末からブログを媒体に、こうして毎日2000字ほどの文章を書いて、書いて書いている。
書く楽しみもそうだが、下書きのブログを書き上げ公開する楽しみ、宣伝する楽しみ、誤字脱字を見つけあわてて訂正する楽しみ、閲覧数のグラフの伸び具合にむふふするのも楽しみである。
さらに、今日はどの本にしようかな、明日はどの本にしようかなと悩むのも楽しみである。
私の個人的な楽しみが、
ブログ見たよ、本買ったよ、楽しみにしてる!
と、伝播していくのも楽しい。
楽しいと思うことが、このブログを中心に増えていっている。
『ストーリー・セラー』に続き、有川浩2度目の感想文。まあまあ、
またかいな〜と思わずに、付き合ってやってください。
単純に、有川浩作品を読みすぎているのです。
誇張などではなく、全部読みました。
はい、全て。
そんな、有川「信者」の私ですが、有川さんの沼にはまったのが、この『塩の街』。
有川さんのデビュー作でございます。
今と作風はすこーーし違っている気がしますが、デビュー作からこの世界観の一貫性、心理描写、魅力的な登場人物。
もう、ため息。
舞台は、「塩害」が深刻化した東京。
ここでいう塩害は、一般的にいう塩害とは全くの別物です。
『塩の街』でいう「塩害」は、東京湾に落下した、巨大な塩化ナトリウムによる公害です。
塩の結晶なるものを視た人は感染・塩化し、死に至るという病が蔓延する東京。
「塩化」とは、文字通り肉体が徐々に塩になっていくことをいい、最終的に塩の柱になってしまうのです。
塩化による死亡人数は300万人を超え、東京は塩の街に成り果てていく。
数少ない生存者、元自衛隊の男・秋庭、塩害により両親を失った少女・真奈が主な登場人物です。
「世界とか、救ってみたくない?」
ということばから、赤の他人だったふたりの関係が揺らいでいきます。
塩にまみれた地獄のような東京で、世界の終わりに直面した人たちの恋愛模様が描かれる。
やはり、有川浩作品に恋愛は欠かせません。
なんでも『塩の街』のコピーが、
世界が終わる瞬間まで、人々は恋をしていた。
なんですよ。
本当にそうなのかな、恋をするのかな、と信じてしまいそうになる、描写の信憑性に鳥肌さえ立ってしまうほどです。
息をするように嘘をつく、そんな世界観の一貫性に終始引き込まれます。
『塩の街』は、いわゆる有川浩の自衛隊シリーズの「陸」で、シリーズ「空」の『空の中』、「海」の『海の底』と三部作で成り立っています。
そのため、大学の頃、教授にそんなもの読むなと言われましたね〜〜。
なーんで、娯楽もお前(失礼)に管理されなあかんねん!
と、胸の中で超睨みましたよ。
だって、おもしろいんやもん。
これじゃあかんのかね?
考えが軽いのかな、だめだこりゃ!(思ってもいない)
だって、有川浩作品に陶酔しているのであって、自衛隊に憧れなんてこれっぽっちも抱いていないんですよ?
それなのに、一個人の趣味にまで口出しするんですか??
誰にも批判されない趣味ならいいんですか???
その辺の花ぶっちぎって、冠でも作りましょうか????
だめだ、だめだ、あのときの不満が復活するところでした、危ない危ない!
好きなことを制限されるのは、だれでも気分はよろしくないですもんね。
性格の悪さが根深い。ふはは
話が逸れましたが、『塩の街』。
きっとハマると、気づいた頃には『海の底』まで読んでいることでしょう。
ぜひ読んでいただきたい。
人は一人では生きていけないと、改めて思い知る、一冊です。
2月は28日しかない。
1カ月、はっっっや!
となるのは、目に見えているので、残り20日をどう過ごそう。
悩むの、楽しいね。